NIKILAB > Protocols > Gene disruption on E. coli chromosome using recombination system

One-step inactivation of chromosomal genes in E. coli K-12 using PCR products
Datsenko and Wanner. PNAS 97, 6640-6645, 2000
protocol, written by yamaichi 030501
updated by yamaichi 040426

準備1 オリゴDNAの設計

当該実験において、大腸菌染色体上から欠損させる領域(例では小文字)の
1. すぐ上流の 40 mer(H1; 例では太文字) に20 mer の P1配列をつなげたもの
(例:5'-TTAGGCACCCGACGGTGATCGATGTTGCTGTCCGGGCGCT GTGTAGGCTGGAGCTGCTTC-3')
2. すぐ下流の 40 mer(H2; 例では太文字) に19 mer の P2配列をつなげたもの
(例:5'-GCGCAGCCAGAAGGTCGATTTGCAGAAACTGGTTCACGAA CATATGAATATCCTCCTTA-3')
 を 40/50 nmol スケール・カートリッジ精製で注文する。また、
3. 染色体からの欠損を検出、さらにはシークエンスの確認が可能なプライマーセット
 (例では下線付き)をエコノミースケール・未精製で注文する。

欠損させる染色体領域とプライマーの位置関係の例;
310 320 330 340 350 360
ATCCAGTCGC CAGGAGACAA TATCGCCCGC TTGATAGTCA CTGGGGTTCT TGCTGGTGGG
370 380 390 400 410 420
GCGTGTTTTA TCATGGCGGC TAAACCAGGT TTCCAGATTA GGCACCCGAC GGTGATCGAT
430 440 450 460 470 480
GTTGCTGTCC GGGCGCTtta acttccattt ttgcgggtac tcagcaaaat tcttcgccat
490 500 510 520 530 540
atcTTCGTGA ACCAGTTTCT GCAAATCGAC CTTCTGGCTG CGCAATGCGC GGATCACCAC
550 560 570 580 590 600
ATCGGAACAT ACACCGCGTT CTTGCGGAAC ATCACCGCCA GGATAAGTAA GCTGCACATA

準備2 プラスミドの調整と導入

オリゴDNAが届く日までに以下のものを用意しておく。
1. pKD46 (KIN342 より調整、miniprep)@30℃, (×37℃)
2. pKD3 あるいは pKD4(KIN344 あるいは KIN345 より調整、miniprep)
※自前で用意したDNA断片を挿入する場合には不必要である
3. pCP20 (KIN341 より調整、miniprep)@30℃, (×37℃)
※FRTに挟まれた薬剤耐性マーカーを除く場合のみ必要

pKD46を目的の大腸菌株にエレクトロポレーションで導入する。
Amp 100 μg/ml を含む寒天培地上にコロニーを単離出来るように塗布する。(?)
@30℃, (×37℃)

実験(オリゴDNAが届く日を Day 1 とする)

Day 0 (コンピテントセルが用意できている場合は必要ない)
0-1. 目的の大腸菌株にpKD46を導入した株を、5 ml L培地 Amp 100 μg/ml に植え、
30℃ にて培養する。(前培養)

Day 1

1-1. 20 ml SOB培地 Amp 100 μg/ml, 10 mM (= 0.15 % w/v) L-Arabinose を
枝付き試験管に用意し、前培養した culture 40 μl を加え、30℃にて培養する。
(クレットの値が培養開始の値+60となるまで。)

1-2. 届いたオリゴDNAを100 μMとなるようにTEで溶解する。
10 μM each の primers solution を用意する。(TE 16 μl + H1-P1 2 μl + H2-P2 2 μl)

1-3. LAPCRを行う。

template DNA(1 ng/μl) 1 μl 94℃ 2 min
10x LAPCR Buffer 10 μl ↓
MgCl2 10 μl 98℃ 10 sec
dNTPs 10 μl 57℃ 10 sec
primers solution 2 μl 68℃ 2 min
D.W. 67 μl x 30 cycles 
LA Taq 0.5 μl ↓
total 100 μl 72℃ 7 min
(33 μl x 3本に分注)


1-4. 3本のtubeを1本にまとめ、PCR産物を電気泳動で確認する。(1 μl 使用)
1-5. プライマーと未反応の dNTPs を Concert(TM) Rapid PCR Purification system
(あるいはこれと同等のキット)にて除去する。
さらに、エタノール沈殿を行い、20 μl の D.W. に溶解する。

夕方
1-6. 朝から培養した菌液のクレットの値が培養開始の値から+60となったら、
細胞をコンピテンテントセルに調整する。(別紙参照)

1-7. 20 μl のコンピテントセルに 1 μl の [1-5.] で調整したPCR products を加え、
エレクトロポレーションを行う。
細胞を1 ml の SOB培地に懸濁し、室温でラックに立てて置いておく。

Day 2

2-1. 1 ml の細胞懸濁液を遠心して液量を 100 μl 程度に減らし、
適当な薬剤を含む寒天培地上に塗布する。37℃にて培養

夜遅く
2-2. コロニーが生えてきていたら、[2-3.] あるいは [2-4.] の作業を行う。
コロニーが生えてきていなければ、翌朝まで培養を続ける。

2-3. コロニーPCR
下記 [3-1.] を参照。

2-4. 植え継ぎ
生えてきたコロニーを、適当な薬剤を含む寒天培地上にパッチで植える。(Ξ)

Day 3
3-1. コロニーが生えてきていたら、コロニーPCRで目的の遺伝子の欠損(挿入)を確認する。
primers set は検出用のものを用いる。(10 μM each に調整しておく)
ネガティブコントロールにもとの大腸菌の菌体あるいは精製DNAを用い、同時にPCRを行う
template DNA 菌体 or 1 μl 94℃ 2 min
10x LAPCR Buffer 1 μl ↓
MgCl2 1 μl 98℃ 10 sec
dNTPs 1 μl 57℃ 10 sec
primers solution(検出用) 0.2 μl 68℃ 2 min ← 挿入/欠損サイズが
D.W. 6.8 μl x 30 cycles/  大きい場合は長くする
LA Taq 0.05 μl ↓
total 約10 μl 72℃ 7 min

3-2. PCR産物を電気泳動によって確認する。(1 μl 使用)

注: このPCR産物はシークエンスの確認に用いることも出来る。その場合は、
エタノール沈殿@室温 処理し、10 μl のD.W. に溶解させ、
これを1/10希釈したものを 1 μl、シークエンス反応の template に用いる。
 ☆ 1/10希釈したものが必要な template 量に満たない場合は、希釈せずにシークエンス反応に
用いるのでなく、反応量を増やしてPCRをやり直すこと!

3-3. 適当な液体培地で培養する。
増殖後、グリセロールストックする。(Day 4 に)

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◆ 薬剤耐性マーカーを除く場合。

3-4. [3-3.] で植える時、同時に菌のアンピシリン感受性を確認する。
Amp 100 μg/ml を含む寒天培地上にパッチで植え、(Ξ) 37℃にて培養する。

Day 4

4-1. Amp を含む寒天培地からは菌が生えず、アンピシリン感受性となっていることを確認する。

4-2. overnightの培養液からコンピテントセルを調整する。

4-3. コンピテントセルに pCP20 1 μl をエレクトロポレーションで導入する。
Amp 100 μg/ml を含む寒天培地上にコロニーを単離出来るように塗布する。(?)
30℃で一晩培養する。

Day 5

5-1. アンピシリン耐性のコロニーを、薬剤を含まない寒天培地にSCI行う。(?)
37℃(もしくは42℃)にて培養する。
(適当な薬剤が使用できるなら、それを含む培地でも可)
 ☆ FRTに挟まれた遺伝子によって耐性となる薬剤を間違って用いないように!


5-2. 単離された菌の薬剤感受性を確認する。コロニーを、
A. FRTに挟まれた遺伝子によって耐性となる薬剤(Cm or Km)を含む寒天培地
B. Amp 100 μg/ml を含む寒天培地
C. 薬剤を含まない寒天培地
にパッチで植え、(Ξ) 37℃にて培養する。

Day 6

6-1. A, B のプレートからは生えてこず、C のプレートからのみ生えてきたコロニーについて、
コロニーPCRで目的の遺伝子の欠損 を確認する。
primers set は [3-1.] で用いたものを用いる。
コントロールとして [3-1.] で用いたコロニーについても同時にPCRを行う
template DNA 菌体 94℃ 2 min
10x LAPCR Buffer 1 μl ↓
MgCl2 1 μl 98℃ 10 sec
dNTPs 1 μl 57℃ 10 sec
primers solution(検出用) 0.2 μl 68℃ 2 min
D.W. 6.8 μl x 30 cycles
LA Taq 0.05 μl ↓
total 10 μl 72℃ 7 min

6-2. PCR産物を電気泳動によって確認する。(1 μl 使用)

6-3. 適当な液体培地で培養する。

Day 7

7-1. 液体培地にて増殖した細胞を、グリセロールストックする。