仁木研の主要な研究テーマ

   

<バクテリアの染色体分配>

バクテリアが増殖するためには、細胞分裂の際に複製された染色体DNAが、娘細胞へ正しく分配される必要がある。原核生物のバクテリアは、真核生物と異なり細胞核がないが、細胞の1000倍もの長さになる染色体DNAはコンパクトに密集し、“核様体”を形成している。このような密に凝集した染色体DNAは、どのようにして正確に娘細胞へ分配されるのだろうか?私たちは、この分配の仕組みについて明らかにすることを目指している。

 

1. バクテリアのセントロメア様領域

 

2. DNAを動かすモーター蛋白質

 

<分裂酵母を用いた染色体動態の解析>

分裂酵母、Schizosaccharomyces japonicusの細胞遺伝学研究を新しく始めました。この酵母を研究しているグループは、世界でもまだ数が少なく、どのような研究に発展していくのか、ほんとうのところはまだわかりません。S. japonicusは広くモデル生物として用いられているS. pombeの近縁種ですが細胞のサイズが2倍程度大きいこと、菌糸形成を行うことなどでS. pombeとその細胞生物的な性質が異なります。また、とりわけ分裂期において凝縮した染色体が繊維状にはっきりと見えるのが他の酵母にはない大きな特徴です。このような違いがあるのですが、やはり、近縁種ということで、ゲノム情報はS.pombeとよく似ています。ですので、これまでS.pombeでわかってきた様々な遺伝的な研究情報を活用できます。私たちは、とりわけ"染色体がよく見える"というこの酵母の特徴を生かし、これまで観察することができなかった染色体と核の新しい現象を発見しようと取り組み始めました。
まず最初に、突然変異株のコレクションをつくり、その中から染色体異常を示すものを探しています。都合よいことに、2006年アメリカのBroad Instituteから、S. japonicusゲノム配列が公開されました。この情報をもとに、染色体を視覚化するための遺伝子組換え体も作りだすことに成功しています。そして、既にいくつかの主要な染色体関連タンパク質を標識し、その研究を開始しました。これからの成果をご期待ください。

 
 
 
 
 

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